フリーカメラマン・足立慎太郎の「水絵」のすすめ

水面はときに、抽象画家のようにさまざまな表情を描き出します。二度とは出会えない、一瞬の色彩美と模様そのもののおもしろさ。
さあ、水に映る「水絵」の世界へ、ようこそ。

【ご注意】
立入禁止になっているような水際は避けてください。
危険なところでは、誤ってすべり落ちたり、カメラを落としたりしないよう、くれぐれも注意して撮影をしてくださいね。

  • vol.57

    糸杉

    風がなびいて、ゴッホの描く糸杉のような光景が現れた。地元の人に川の名を尋ねたら、返ってきたのが「裏の川」。はあ、確かに。いいよね、その名前で。
    東近江市能登川町の水路にて

  • vol.56

    おいしそうな幻覚

    水の中はいつも、どこかに天才絵師が隠れているような。川面が揺れて、赤い花がそのうちなんだか 「とっくり」 のように見えてきて。
    ゆうべ、飲みすぎたかしらん。
    京都・西羽東師川にて

  • vol.55

    古城のほとり

    野づら積みの荒々しい石垣が水面に揺れて。芭蕉が詠んだ ”兵どもが夢の跡” が、まさにここにありました。
    奈良の郡山城にて

  • vol.54

    かくれんぼ

    木々があって、青々とした水辺がある。ここは子どもたちが遊ぶにはもってこいの場所。
    おーい、出ておいで、近所のトム・ソーヤたち。水辺には気をつけるんだよ。
    大阪・万博記念公園にて

  • vol.53

    未来都市

    タイムスリップをしたような、ここは、未来都市? 白いループの上は、きっと未来のポルシェが走ってるんだ。
    ほんとうは水道管だけど。
    大阪・中之島 堂島川に架かる上船津橋にて

  • vol.52

    花しょうぶ

    幾すじか、蜘蛛の糸のようなものが流れてきて、花しょうぶにからみつく。
    おねがい、そっとしておいて。連れていかないで。
    滋賀・伊吹山ふもとの三島池にて

  • vol.51

    心模様

    フェンスの向こうに光が交差する。あきらめるかな。もっとがんばってみようかな。
    揺れたままの心の内が描かれているような。
    京都の疎水にて

  • vol.50

    ね、遊ぼ

    怖ろしい「もののけ」の名がついた伝説の池で、子どもたちが遊んでる。
    ね、もっと遊ぼ。笑ってる子には、ぬえも出てこないから。
    京都・二条公園奥の鵺池(ぬえいけ)にて

  • vol.49

    また来年

    どこからか風が吹いて、粉雪が舞い散るように、桜が手を振っていました。
    もう行ってしまうのですね。また、元気でお会いしましょう。
    京都・桂川と天神川が合流する背割り堤にて

  • vol.48

    花のパレード

    咲いたばかりの桜の花の子らが集まって、パレードをしていました。
    やあ、お久しぶりです。おたがい元気で、なによりでした。
    大阪・堂島川にて

  • vol.47

    春が来た

    河原の土手がだんだんと黄色に染まっていく季節。
    菜の花がいっせいに合唱をはじめたら、もう春ですね。
    京都・桂川と天神川が合流する背割り堤にて

  • vol.46

    花に願いを

    水がぬるむ季節になって、だれかが上流で花びらを流したのでしょうか。
    ありがとう、届いたよ。
    滋賀・栗東の小川にて

  • vol.45

    縦糸と横糸

    日が暮れるまでじっと眺めていると、ふいに縦糸に横糸がからんで、美しい光の帯が織り上がりました。
    京都・桂川にて

  • vol.44

    赤いドレスで

    いつかの町工場をまた訪ねてみたら。
    覚えていてくれたのかな、赤いドレスで迎えてくれました。
    京都の疎水にて

  • vol.43

    冬ざれの池畔

    冬ざれの木立ちに陽がそそいで、かすかに春が聴こえてきそう。
    また新しい1年をつないでいくんだね。
    京都・梅小路公園の池畔にて

  • vol.42

    スカーフ模様

    高級ブランドの、これはスカーフの模様でしょうか。
    ふと立ち寄った清流の窪地に、新作のデザインが。
    京都・貴船川にて

  • vol.41

    怪鳥だあ!

    この日は船がひんぱんに往来していた。
    と、水面に怪鳥があらわれ、ヨーイ・ドンの構えに。
    大阪・道頓堀にて

  • vol.40

    ダリかミロか

    ダリか、ミロの作品みたいですって?ごめんなさい、どこにでもあるただの電柱なんです。
    京都・桂の水路にて

  • vol.39

    ネオンの街で

    ようやく夜の賑わいがもどってきたようだ。古今、この町だけは静寂が似合わない。
    大阪・道頓堀にて

  • vol.38

    桜の落ち葉

    春を過ぎれば振り返られることのない桜だけど、いえいえ、紅葉だって美しいのです。
    京都植物園にて

  • vol.37

    紅い段々畑

    どこからか風が吹いて、ひゅうっと水面が揺れたら、紅葉の段々畑があらわれました。
    京都植物園にて

  • vol.36

    神戸の海

    昔デートをした波止場に、緑色のドレスを着たタワーマンションが建つ。
    げんきでいてくれるかな。
    兵庫・神戸ハーバーランドにて

  • vol.35

    プリズムみたいに

    陽が傾きかけた午後3時ごろ。
    ガラス戸やトタンが反射して、誰も知らない模様が現れました。
    京都・西高瀬川支流

  • vol.34

    おとぎの国のチャペル

    チャペルの三角屋根がこっちを見てくれている。
    ええ、ここからでも充分に心がほどけてまいります。
    京都・鴨川九条にて

  • vol.33

    サギの逆立ち

    クレーンを真似ているのか、サギが逆立ちをしていた。それも中之島のビル街で。
    大阪・土佐堀川難波橋付近にて

  • vol.32

    カッパの水遊び

    うっかり河童が水面から顔を出したら、地上はうだるような暑さ。
    つい目を見開いて。
    兵庫・西宮夙川にて

  • vol.31

    もうお盆ですね

    夏が来ると、お世話になった故人が帰ってこられる。
    しばらくです。
    おだやかにお過ごしですか。
    京都府立植物園にて

  • vol.30

    遠くの民家

    自転車を止めて水をごくりと飲むと、向こうには、住宅が蜃気楼のように見えて。
    大阪・枚方市の池の端で

  • vol.29

    すだれ越し

    黄すだれ越しに撮ったヒメオウギズイセン。どこか初夏の清々しさがありました。
    京都・桂の水路にて

  • vol.28

    竜宮の五重塔

    五重の塔のまわりの空中を、悠然と鯉が泳いでいます。
    京都の東寺にて

  • vol.27

    花畑の散歩

    整然と並んだ花々は、毎日、だれかが手入れをしているのですね。
    ありがとう、とつぶやきながら。
    万博記念公園の花壇にて

  • vol.26

    水中草

    遠くに目をやれば、新緑がまばゆい季節。と思ったら、あら、水の中も明るい緑の競演でした。
    京都の疎水にて

  • vol.25

    中之島の夕景

    刻々と時が流れて茜の空が暗くなるまで、飽きることなく眺めていたんだ。
    大阪・土佐堀川に架かる栴檀木橋(せんだんのきばし)にて。

  • vol.24

    あなたは来ない

    ランタンはとっくに灯ったのに、あの娘は来てはくれない。
    この橋はどれだけの物語を紡いできたのだろう。
    大阪・堂島川に架かる水晶橋にて。

  • vol.23

    花筏に乗って

    いつも僕を見ていてくれたね。桜の下に立つと、また少年の自分に帰っていける。
    京都の桂川と天神川が合流する背割り堤にて

  • vol.22

    おだやかな一日

    西の山に陽が沈むと水面のひだが青くなり、てっぺんに夕陽の色が残る。
    あと少し、あと少し、と待ちながら。
    京都・桂川にて

  • vol.21

    物干し台から

    よそのお家の物干し台をのぞくのは失礼だけど、水に映った洗濯ものはきれいだな。
    京都・西高瀬川にて。

  • vol.20

    菜の花と白鷺

    河原の土手が黄色に染まるころ、水辺が好きな白鷺がやってきた。
    京都は桂川と天神川の合流地点にて。

  • vol.19

    町工場

    前に来たときは、こんな色じゃなかった。おなじ町工場なのに。
    京都の疎水にて。

  • vol.18

    冬木立

    こずえの影が長く伸びています。ゆっくりと冬が行きます。
    滋賀・近江八幡のお堀端にて。

  • vol.17

    ガラスの輝き

    たいへんな一年でした。混沌のなかに、あたらしい光を見つけましょう。
    名も知れぬ川にて。

  • vol.16

    散りゆくもみじ

    散りゆく紅葉が別れを惜しむように、いっぱい小さな手を振っています。
    京都・下賀茂神社の糺(ただす)の森にて

  • vol.15

    怪物出現!

    ギャオッ! なんだ、これは。とつぜん現れた怪物に、逃げろやー。
    大阪・深里橋にて。

  • vol.14

    道頓堀の色

    さまざまな人の喜びと涙を集めて流れる、夢の川です。
    大阪・道頓堀にて。

  • vol.13

    六角堂だより

    朱塗りのお堂にお参りした戻り道、ゆらゆら、極楽浄土が浮かんできました。
    京都・六角堂にて。

  • vol.12

    藍染め模様

    人の手では描けそうもないくらいの、それはみごとな藍染め模様でした。
    京都の疎水にて。

  • vol.11

    フェンスと青空

    ぱあっと広がった空に白い雲が遊びにやってきて、水たちもはしゃいでる。
    京都の疎水にて。

  • vol.10

    もういちど会える日

    生前に母が「夢のなかでハスの花が咲く道を歩いてたら、向こうに手招きをする人がいる。
    仏さんの姿も見えて一瞬行きかけたが、戻れんかもしれんと思って、慌てて走って帰ってきたよ。
    ああ、あんたの顔見れてよかったあ!」と真顔で話していた。
    京都府立植物園にて。

  • vol.9

    森のパレット

    ヨーロッパの風景ですか? いいえ。 油絵ですか? いいえ。
    でも、そんなふうに見てもらえるなら、うれしい。
    新緑の京都府立植物園にて。

  • vol.8

    柳の木の下で

    子どものころ、大人はよく「柳の木には幽霊が出るぞ」と言っていた。 あれはきっと遠回しに、一人で川に近づくな、と諭してたんだろうなあ。京都の名も知れぬ川べりにて。

  • vol.7

    堂島川の夕べ

    夕なずむ頃は風が凪ぎ、船の往来もなく、川はゆるやかに漂っている。
    もうすぐ対岸から、リバークルーズの船が出る。ねえ、揺らさないで。
    大阪・堂島川堰堤遊歩道にて。

  • vol.6

    田んぼの向こう

    田植えの終わった田んぼの向こうにアパートが見える。空がひろがって、空気が澄んでいる。
    もうすぐカエルの合唱が始まるよ。京都・桂周辺にて。

  • vol.5

    花束の贈りもの

    川沿いの散歩道を歩いていたら、向かいの民家の花壇が陽に照らされ、まるで僕に花束を差し出してくれているかのように。
    京都・西高瀬川にて。

  • vol.4

    水たまりのなかの家

    友人の宅を訪ねた帰り、川のはずれの水たまりに、素敵な家が映っていた。
    きっと、幸せな家庭なんだろうなあ。大阪・箕面川にて。

  • vol.3

    少年と釣り

    魚釣りの少年がいました。カメラで追っていくと、あらら、糸の先にはペットボトルが。陽気のいい一日。京都・桂川にて。

  • vol.2

    花の万華鏡

    水面に映る満開の桜を撮ろうとしたら、やさしい風が吹いてきて、あらら、花びらが万華鏡のように。
    滋賀・近江八幡市のお堀端(八幡堀)にて。

  • vol.1

    桜、舞う

    きょうも桜の花の子らが舞っている。どの子の舞いを撮ろうかな。
    京都・伏見疎水にて。