わい
わいがや倶楽部

取材リポートわいがやリポート15

2019年度
フレックスジャパン×文化服装学院
産学協同プロジェクト(Part2)

a business-academia partnership


Part2

最終プレゼンテーション発表の地、長野へ!

文化服装学院がある新宿から約3時間。学生らを乗せたバスが、長野県千曲市のフレックスジャパン長野本社までやってきました。
学生たち皆さん、信州の自然豊かなロケーションに加え、社屋の大きさにビックリしているようです。
「マジ長野って空気ウマイよね!」
「これ全部フレックスさんの会社なの!? 思ってたより建物デカいんだけど!」
なんとも若者らしい直感的で素直な感想。まっすぐな姿勢にとても好感が持てます。

約3ヶ月間の授業の集大成。
「日本のシャツ」の最終プレゼンの時は刻々と近づきます。

フレックスジャパンでの学生たちの授業日程は2日間。1日目は、シャツがストックされている物流倉庫と隣接する縫製工場の見学をします。
社会見学と言えども、実際に服が出荷されていく流通過程や、縫製をしている生の現場を見ること。これも立派な『ファッション未来塾』です。

みなさん、物流倉庫でも縫製工場でも、おそらくこんなに「シャツ」を見た日は過去にないでしょうし、長野に来ることで、初めて現場を目にした 学生も多かったことでしょう。

長い長い1日目の日程を終え、夜7時過ぎに、ようやく宿泊するホテルへチェックインします。チェックインをして夕飯を食べた後は、自主的に明日のプレゼンテーションに向け、各班ごと班長の部屋に集まります。スライド画像の再編集や、資料やサンプルの入念なチェック、プレゼンテーターは発声練習など、最終調整や練習を繰り返し行います。練習は深夜遅くまで続きます。なかには朝方までがんばる班もあるとかないとか。。。


SHOW MUST GO ON!

2日目の朝。
いよいよ最終プレゼンテーションの日がやってきました。

まっすぐに敷かれたレッドカーペット。200脚近く用意された椅子。
学生たちの心臓の鼓動が聞こえてくるほど、緊張は高まります。

プレゼン前、モデル同席で最後の細かな打ち合わせ。/1、2、3! グループのみんなと気合いを入れる!

ステージは整いました。
泣いても笑ってもこれが最後。言いかえれば、ファッション未来塾は今日が最後の授業。悔いの無いようにがんばります。
先ずはご挨拶。学生たち全員が本日のプレゼンテーションを聴きに来られた方々の前に立ちます。

この日の為に、文化服装学院より 相原 幸子 学院長が、長野へお越しになられました。
開演に先立ち、この産学協同プロジェクトについての意義や成果など、心温まる貴重なご意見を頂戴いたしました。

つづけて同学院より、西平 孝子 グループ長にもお越し頂き、ご挨拶を頂戴しました。

「先輩たちから引き継いできたこのプロジェクトを、ここに立つ23名が全力で発表をします。ぜひご覧になってください。」
そう力強いご挨拶を、メンズデザインコースの 鈴木 憲道 先生 より頂戴しました。
そして、クラス代表の 武内 愛佑美 さん の号令で、プレゼンテーションが始まります!


ファッションショー形式で班ごとに発表。
なんとモデルは会社員!これぞ共同プロジェクト。

会場は立ち見の人たちであふれるほどになりました。
服飾を学ぶ地元の高校生たちもプレゼンテーションを観に来場。
地元のテレビ局のカメラや、各新聞社などの報道関係各社も入り、会場のボルテージは上がります。

それでは、文化服装学院 ファッション工科専門課程 アパレルデザイン科メンズデザインコース 3年 23名によるプレゼンテーションの様子を一挙にご紹介します!

繰り返しになりますが、今回のテーマは「日本のシャツ」。
各班ごとに、様々な切り口から、次々と斬新なプレゼンテーションが飛び出します。
既成概念では思いもつかないような「日本のシャツ」が、BGMにあわせてリズムよく提案されていきます。

・もったいない精神から導かれた「金継ぎ」シャツと「刺し子」シャツ。
・万葉集から「恋文」を引用し、恋をシャツで表現した班。
・次世代のスマート未来形シャツ「ジェネレーションZ」。
・外国人留学生の一番多い班が発表した和の精神、「一切合切」のシャツ。

日本古来の文化をシャツに落とし込んだ班。日本人の奥ゆかしさを表現した班。現代の社会情勢を、シャツを通して表現した班。

「なるほど、ありそうでないアイデアだ!」「あのデザイン、今度の商品企画に活かせるかもしれないなぁ。」
未来のファッションを担うであろう学生たちの創り出す作品が、現場にいる人たちの概念を飛び越えていきます。

ところでところで。
学生たちの作品を着こなすモデル、実は全員がフレックスジャパンの社員です。
学生たちの要望に応えるべく、アパレル業界の先輩として、レッドカーペットの上を颯爽と歩きました。

伝えたいことの全てを出し切って。

1班から4班までのプレゼンテーションが順調に進行し、すべての班の発表が終わりました。
作品の評価、プレゼンテーションの評価の両方に点数が設けられ、審査員と来場者により、評価と採点がされます。
採点結果は後日の発表ですが、すでに学生たちからはやりきった安堵感がうかがえます。

最後にクラスを代表して、田中 琴音 さんが挨拶と号令をしました。

フレックスジャパン 取締役 開発マーケティング 坂井 敏秀 様より、プレゼンテーションの総評を頂きます。

プレゼンテーション後のフリータイムの様子。
作品のデザインや縫製の仕方に、フレックスジャパンの社員や地元の高校生らが学生に質問を投げかけます。

学生の声

●自分は本番のプレゼンテーターではなく裏方でしたが、裏にいても緊張しました。
この経験を今後に活かしていきたいと思います。
(大塚 幹也さん)

●自分が良いと思ったことも班で見ると良くなかったり、皆が良いと思った事でも、まとめてみるとパッとしない事もありました。人に伝えるという事がこんなにも大変なのかと痛感しました。
今後、社会に出た時にも必ず役に立つ素晴らしい経験をさせて頂きました。
この授業を繋いで下さった先輩方、そしてグループの皆に本当に感謝です。
(吉田 成宏さん)

学生の声

●班を超えて協力し、クラスの仲を深めることができ、思い出に残る授業になりました。長野では縫製工場も見学させて頂き、仕事としての服作りも見学できたことも良い経験になりました。
(巾崎 由里加さん)

●お題の「日本のシャツ」を通して、改めて自分が日本に居ることの使命感や、日本とはどんな国か、また海外の人からみてどんな印象なのか、初めてそのことを学べる機会でした。普段あまり気にしていない視点を使うことが多く、今までなかった感覚が芽生え育った気がします。
(田中 琴音さん)

●先輩からは聞いていましたが、そのとおりの大変な授業でした。
ですが、本番は100%カンペキなプレゼンを行うことができました。社会人になる前に練習ができたのでは。
来年から社会人として、自分で企画から商品開発、プレゼンテーションまでを成功できるよう、頑張りたいと思います。
(武内 愛佑美さん)

「ファッション未来塾」閉講

過去に例がないほど、留学生が多かったクラス。その中で【日本のシャツ】を考えたこの約3ヶ月間。
学生たちは鈴木先生や講師陣と多くの意見交換をし、最後は長野で見事にプレゼンテーションを披露することができました。
授業を終えて力を出し切ったせいなのか、帰りのバスの中では、ほとんどの学生があっという間に深い眠りに。。。

産学連携では企業側も気づかされることがあり、取り組みの中では、学校や先生方、そして学生から吸収することが多くあったに違いありません。
今後も、企業と学校が手を取り合って一体となり、将来有望な学生たちが、アパレル業界の「未来」を創り続けてくれることでしょう。

取材/わいがや倶楽部 編集局