わい
わいがや倶楽部

Vol.28

河童の生息地?かっぱ橋道具街(パート1)

東京は浅草と上野のまん中あたり、北は言問い通りから南は浅草通りの区間。
調理道具の卸売り街でありながら、今や観光地としての顔も持つ「かっぱ橋道具街」にやってまいりました。

“かっぱ”橋道具街の名の由来には、いくつか諸説があります。
その昔、侍や足軽が内職で作った雨合羽を、天気の良い日に近くの橋にズラリと干していたという“雨合羽説”。
もう一つは、昔この辺りの水捌けが悪く、少しの雨でもすぐ洪水になってしまうのを見かね、合羽川太郎(本名合羽屋喜八)が私財を投げ出して掘割工事を始め、なかなか捗らない工事の様子を見ていた隅田川の河童たちが、川太郎の善行に感動して、夜な夜な工事を手伝ったと言われる“河童説”、などが言い伝えられています。
ちなみに、河童をマスコットにはしていますが、「河童橋」ではなく「合羽橋」、「商店街」ではなく「道具街」。
また、東京合羽橋商店街振興組合では、どちらの漢字も使用せずに「かっぱ橋道具街」と称しています。

道具街は、南北の通りの「かっぱ橋道具街通り」と、浅草方面に東へと続く「合羽橋本通り」からなる商店街。
食器類から店舗の看板を取り扱うお店などを中心に、飲食店にとっては大切な「商売道具」を取り扱うお店が軒を連ねます。
近年は観光地としても人気があり、刃物を扱うお店では、外国人観光客向けに「包丁研ぎ」の実演販売もしています。
外国人観光客と言えば、もう一つ人気なのが「食品サンプル」のお店が何軒かあることですね。
日本では喫茶店のショーケースに並んでいる、スパゲッティーやクリームソーダのサンプル。じつに美味しそうにできています!
海外ではこのような食品サンプルを店頭で並べる習慣はあまり無いようで、外国人の方には珍しく、人気なお店です。

ところで、
ここに来た肝心な主旨は? と申しますと。。。
中華蕎麦のラーメンどんぶりを仕入れる訳でもなければ、“お箸で麺をすくった状態で固まった”のあの食品サンプルを探している訳でも、、、ありません。
そうです、この街に多く出没すると言われ、日本を代表する妖怪でもある“河童”、その正体を探しにやってきたのです。
本当にいるの!?かっぱ、河童、合羽に会いたい。いったい何匹の河童にあえるのか? さあ道具街を捜索してみましょう。


交番のある菊谷橋の交差点から歩くこと1分足らず、あっという間に見つけてしまいました。
瀬戸物屋さんの店先にちょこんといらっしゃったのは、なんと徳利とお猪口の姿に化けた、かわいらしい2匹の河童。
見たところ、口先から燗が注がれる仕組み。値札は無いので、どうやら飾ってあるようです。
妖怪のおどろおどろしさが、全くありません。

瀬戸物屋さんから数件となりの刃物屋さんまで来ました。
危うくサラッと流してしまうところでしたが、しっかり2匹目を発見。ぬいぐるみです。
このお店の守り神でしょうか。こちらも妖怪らしさはゼロ。というよりは、可愛らしいキャラクターですよね?

歩きながら、おもむろに目線をあげると、表札のような看板がずっと続いているではありませんか。しかも河童、河童、河童、、、。
こちらの表札に化けた河童。目を閉じていて、口元には「すっ」とルージュが。人間でいうなら女性のようです。
看板の下には、かっぱ橋道具街組合加盟店のステッカーも。もちろんイメージキャラクターは“かっぱ”なのですね。

合羽橋本通りまでやってきました。
通りの先に東京スカイツリーを見せてくれるとは、なんて乙な通りでしょう。思わずパシャリ、「きょうの一枚」です。
そう言えば、全国各地にある富士山が見える通りは「富士見通り」と名が付いたりしますが、この通りなら「ツリー見通り」ですね。

スカイツリーに向かって、合羽橋本通りを浅草方面へと歩きます。
ほら、もうありました。いや、いらっしゃいましたよ。それも村人が4名も。
左下から、工事現場の方が1名、ちいさな白い植木屋さんが1名、寝ぼけまなこの1名、そしてかっぱ村看板の酔いどれ村民が1名。
村人皆さん、上手に化けていますね。

おや?
かわいらしい河童くんが看板の左下にもう1名いましたので、村人は全5名でしたね。

出現率が上昇中です。
こちらのネクタイをしめた“サラリーマン風”な河童さん、なにやら土下座中に呼びかけられた様子です。
想像するに、仕事でやらかしてしまった雰囲気。もう所作が妖怪どころではありません。そりゃあ、土日も定休になります。

こちらの看板、この絵のタッチは、あの有名な日本酒のCMに出演された女優の河童さんでしょうか。
色白でロングヘアー、今までの河童たちにくらべ、格別に麗しいお姿。

シャッターに描かれた恋人のふたり、いや恋河童ふたり。ここの通りの景色と同じように、東京スカイツリーを眺めています。
ひと筋の流れ星が夜空にきらめく瞬間、ふたりの願いは永遠に。。。

合羽橋本通りを引き返して、再びかっぱ橋道具街通りまで戻ってきました。
捜査はまだ半分もいっていないのですが、かなり手掛かりは掴めてきました。
いまのところ見えてきたのは、妖怪と言うよりも、むしろ人間模様に近い、ということです。

名前の通り、この街はどれだけの河童たちが住んでいるのでしょう?
いや、その名前の道具街だったから、河童が住み着いたのでしょうか?

捜索は折り返しです。
いったん中断をさせていただき、もうお皿がカラカラですので、休憩をとろうかと思います。
え?
あぁ! 喉ですよ! のど!お皿って言いました? そんなはずない。

では続きは『編集部のいいね!』河童の生息地、かっぱ橋道具街。(パート2)でお会いしましょう。

取材/文/写真 編集部スタッフ