Vol.17
読んだらきっと食べたくなる!
おいしい、たのしい手作りパン

「ほんっっとにパンが好きなんだよね」
パン作りを趣味にされてから20年ほど。パンの焼ける香りと、作る楽しさにすっかりはまったそうです。
そんな女性に、パン作り初心者の二人がお話をうかがいました。
ー パン作りが趣味になったきっかけを教えてください。
もともとお菓子作りがすごく好きで、子供のお菓子もよく作っていました。
パンは、本を買ってやってみたりしたけど、あまりうまくいかなくて。たまたま友人からパン作りの教室に誘われたんです。
そしたら、ハマった。もう面白すぎて。


ー パン教室にはどのくらい通われているんですか?
20年くらい。
●そんなに!もうご自分で教室も開けそうですね。
うーん、できるかもしれないけど、教えるとなるとまた難しいから。
●教室はどんな感じですか?
先生が自宅を改装して教室を開いていてます。もうあのパンの焼ける匂いがすごくいいんだよね。
●どんなパンを作るのですか?
毎回違う種類のパンを作ります。20年間かぶらないから、考える人は大変だよね。中身を変えたりして。いつも2種類のパンと、お菓子を1種類作ります。たくさん作って、その場で食べるの。おしゃべりしながらやるから楽しいです。
■作って楽しい、食べて楽しい、しゃべって楽しいと。
うん、そうそう。

フォカッチャ

おしゃべりしながらの試食会も楽しい。
ー パンはどんな材料でできているのですか?
強力粉、砂糖、バター、塩、ドライイースト、スキムミルクも入れるね。卵入れたり、牛乳入れることもある。あ、米粉パンも作りました。
●米粉の時は何か違うのですか?
米粉って伸びないから、グルテンを入れます。でもあまり自分では作らないな、米粉パン大変だからね。
ー パンはご家庭でも作りますか?
よく金曜の夜に作って、土日の朝に食べていました。でも子供が大きくなって、一緒に住まなくなってからは、月に2回くらいかな。
子供がいる頃は本当よく作ってた。食べ盛りだったし、何回作ったかわからないくらい。
■いいですね。焼きたてが食べれるってなかなかないですよね。
そう!もう本当に美味しいよね!
●やっぱり手作りパンは違いますか。
一番は焼きたてだね。教室でも焼きたての香りが広がって、すごい幸せな気持ちになって帰ってくる。香りも美味しさの一つだよね。
でも、家であまりにも作りすぎて、家族から「たまには店のパンが食べたい」って言われました・・。お店のは特に食パンがおいしい。あれも自分では難しい。食パンはちょっと技術がいるかな。毎日やってればね、コツをつかむかもしれないけど。


ー 他にも難しいパンはありますか?
フランスパンだね!
フランスパンはできない、本当に。多分、ガスオーブンが要るんじゃないかな。
■瞬間の火力がないとダメなんですかね。
●20年をもってしてもできないと。
そう。だからもう、フランスパンは諦めた。あれは買って食べる。
■やっぱ、「石窯」じゃないですか。
そうだね!石窯最高だね!
普通のオーブンだと、中もっちりで周りカリカリができないんです。
私、フランスパンすっごい好きで、絶対焼きたいと思ったけど、ダメだった・・・奥が深いんです。パンも。
■ガスオーブン買ったらいいじゃないですか。
いや、もうそこはね、線引かないと。
ー イチオシの一品を教えてください。
ロールパンです!あれは翌日もおいしい。あれだけはしょっちゅう作ってるから大丈夫。味も作るのも自信あり。
●パン生地って、パン以外にも使えますか。
ピザとか。イースト菌はちょっと減らすんだけど。あとフォカッチャ。

得意の焼きたてロールパンは、何度作っても飽きない美味しさ。
ー パン屋さんに行くと、創作意欲が湧いたりしませんか?
ないねー。もうパン教室でたくさん作りすぎてて、「これ作りたい」って思わない。もう20年もやってると、本当に色々なパンをやってきたからね。もう新しいものは無いかも。
■それくらい作ったんですね。
そう、で、今回このインタビュー受けるっていうことで、過去に作ったものを見てみたら、クリスマスの「シュトーレン」を思い出して。
シュトーレンはクリスマスに作るドイツのパンで、フルーツのたくさん入ったパン。簡単なんです。昨日見ながら「あ、今年やろうかな」って。
子供が家にいた頃は、クリスマスや誕生日は、ケーキもほとんど手作り。デコレーションもたくさん覚えたし。でもね、家族はたまには買ったケーキも食べたかったみたい。
■でもそれがいい思い出になりますよね。小さいときに作ってもらったっていう。
ー お菓子作りも得意なんですね。
前に友人にチーズケーキを焼いてあげたら、ご主人に、「もう買わなくていいから、友達の作ったやつもらってきて。」って言われたみたいで。レシピを全部教えたりとかもありました。
子供の家庭訪問のときに、先生に手作りケーキを出したら、すごく喜んでもらえたり。
●料理もお好きですか?
料理とはまたちょっと違うね。料理は普通。

ー パン作りで「是非やってみて」というオススメの食べ方はありますか?
ピザ生地に、お好み焼きの具材をのせて焼くのが、すごく美味しいの。ソースとかつお節とね、紅しょうがも。これはオススメ。
ー これから挑戦してみたいことはありますか?
●フランスパン?
いやいや、フランスパンはもう諦めてるんで。色々やってきたから、挑戦はもういいかな。
●でもやっぱりこれからもパン作りは続ける?
うん、多分死ぬまでやってると思う。成功したら「うまくいったー!」っていう感動もあるし、失敗すると「くそー」って思う。パンが好きなんです。特にフランスパンが。
■20年やっていても、失敗することもあるんですね。
あるある!
たっぷり時間あるときにゆっくりやればいいのに、「この工程はいいか」とかって手を抜くと、やっぱり失敗する。
あーやっぱりあそこのせいだったな、って思う。美味しいものは手間をかける、成功の秘訣だね。
■それは全てに通じますね。何事も手間暇を惜しんじゃいけない。そこに喜びがあるんだから。
そうだね。確かに手間暇大事だわ。



クリスマスのシュトーレン。発酵前から発酵後、焼き上がり。
ー パン作りを始めてみたい、という方にアドバイスをお願いします。
何回もやって、コツをつかむってことかな。失敗を恐れず。
■あと、食べてくれる人がいると、やる気にもなりますよね。
うん。子供が中学生、高校生の時はとにかく食べる量がすごくて。米なんて1日7合。毎日。
だからパンやピザも、買うとなるとすごい量がいるし、お金もかかる。でも手作りで美味しく作れたら、安くたくさん食べさせてあげられるし、それは良かったかな。
食べ盛りの家族がいる方にはオススメですね。
ー では最後に、長く続ける秘訣を教えてください。
やっぱり好きだからじゃないかな。あと教室も「こうじゃなきゃだめ」とかそういうのなくて。
あまり堅苦しくちゃ長く続かないし、気楽にできることかな。


今回のインタビューをきっかけに、シュトーレンを思い出し、焼いてくださいました。
パンを作るのも食べるのも本当にお好きなようで、お話しを伺っていても、それが伝わってきました。
好きなことや趣味といっても、続けるのは簡単ではありません。
「死ぬまでやってると思う」そんな風に思えるほど、楽しく続けられることをお持ちなのって、素敵だなと思いました。
この記事を書いていると、どうにもパンが食べたくなって、私もパンを買って帰ったのでした。