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わいがや倶楽部

わいがや博物誌

vol.02 くすりの町、大阪・道修町を歩く。

「くすりの道修町資料館」を訪ねて

〒541-0045大阪市中央区道修町2-1-8 少彦名神社社務所ビル3階


太閤秀吉のもと、日本一の商業都市として栄えた大阪。
なかでも中心的な役割を果たしてきたのが船場ですが、道修町(どしょうまち)はそのなかでも一等地である北船場に位置し、御堂筋の西から堺筋までを東西につづく由緒ある町です。
現在は、本社を東京に移転したり、社名が変わったり、高層の建物も増えて、道修町=薬の町だった往時を知る人には、ずいぶんと印象が変わってしまったかもしれません。それでも、今もだれもが聞き覚えのある製薬会社が多く集まる場所です。

製薬会社のビルが通りの左右に建ち並びます。

そんな通りの一角、薬の神様を祀った少彦名神社(スクナヒコナジンジャ)があります。

向かって左の茶色いビルが社務所。ビルとビルの間、社務所の右の奥に少彦名神社はあります。  地元では“神農(シンノウ)さん”の愛称で親しまれています。「くすりの道修町資料館」はこの社務所の3階にあります。

「くすりの道修町資料館」へ行く前に、まずは神農さんにお参り。
境内では数名のご婦人方が神農さんの絵を描いておられました。ちょうど台湾からの参拝者もいらっしゃってました。巫女さんいわく、最近では外国の方々もたくさん参拝に訪れるとか。健康成就や無病息災。病や身体の悩みなど、それぞれに願掛けされた絵馬がたくさんかかります。神農さんではペットのご祈願もされていて、なかには太りすぎた猫ちゃんのダイエットを願う絵馬もありました。

神社の名前の名前にもなった少彦名命(スクナヒコノミコト)は日本医薬の祖神。神皇彦霊神(カンムスビノカミ/万物生成の神)の子でもあります。また神農さん、神農炎帝(シンノウエンテイ)は、古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人。民に医薬と農耕の術を教えた、といわれています。

では、道修町はいつごろから、薬の町になったのでしょうか。
じつは、安土桃山時代にはすでにくすりの業者が集まる薬問屋の街となっていたそうです。
江戸時代になると、幕府は道修町の薬屋124軒を株仲間とし、中国や和薬の適正検査をして全国へ売りさばく特権を与えました。
薬はときに人の命に関わるものでもあり、その吟味には大変難しいものがありました。そこで、神のご加護によって職務を正しく行おうと、安永9(1780)年、京都の五條天神より少彦名命(スクナヒコナノミコト)を仲間の寄合所にお招きし、以前より祀っていた神農炎帝とともにお祀りしたのがこの神社の始まりだそうです。
今でも神農祭やこの資料館を通じ、地域と企業が町ぐるみとなって活動を続けているそうです。

それでは、神農さんに家族の健康をお願いして、お参りも済んだところで隣のビルの3階にある資料館へ行ってみましょう。

道修町の成り立ちや、薬の伝来などの説明があります。

道修町の家並みの移り変わりやその模型が展示されています。写真の旧家には聞いたことがあるような屋号が。

そして見どころはコレ! 薬草からはじまり、東洋医学の唐薬種(生薬)や漢方薬。大正末期から昭和初期の目薬のガラスの瓶や錠剤になった近代新薬などなどがズラリ! それにたくさんの包装デザインや広告物を見ることができます!
自宅で見たことのある家庭薬も、ずいぶん昔からあったようですね。知っている薬を見つけるとなつかしさを覚えます。

ビルの3階と少々入りづらいところもありますが、昔の医学書や道修町ゆかりの人々の文献、また名前を知っている家庭薬も多数展示してあり、薬の今昔を簡単に知るのにはとてもわかりやすくおもしろい資料館でした。

ところで、入口の大きな金色の像といい、人形、絵馬や小物など、ところどころに張子の虎が飾ってあります。これはもしや、大阪なので阪神タイガース!? なんて思いきや、この飾り物は「虎神」と呼ばれるれっきとした神様でした。張子の虎を神様として祀る意味は諸説あるようですが、その昔、コレラの流行から人々を救った虎のくすりにちなんで無病息災を祈ったという説や、また5月の端午の節句に鎧兜や五月人形とともに飾って子どもの成長に願いを込めた説など、張子の虎は今も大切に祀られています。
とにもかくにも大阪では“虎”に強い願いが込められているようですね。

大阪にお越しのせつは神農さんにお参りして、「くすりの道修町資料館」をのぞいてみられてはいかがでしょうか。

取材:庄村デスク

■くすりの道修町資料館

  • 所在地:〒541-0045大阪市中央区道修町2-1-8 少彦名神社社務所ビル3階
  • 電話番号:06-6231-6958
  • ウェブサイト:http://www.sinnosan.jp/dosyoumathi-index.html
  • 交通:大阪市営地下鉄堺筋線「北浜駅」6番出口徒歩約2分
  • 大阪市営地下鉄御堂筋線「淀屋橋駅」12番出口または13番出口徒歩約10分