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わいがや倶楽部

取材リポートわいがやリポート8

~47年に一度の巡り会わせ~
信州初開催「全国高等学校総合文化祭」に向けた挑戦。

それは素晴らしいパフォーマンスでした。
9月に諏訪で行われた、高校生による芸術文化の祭典「全国高校総合文化祭」のプレ大会のことです。本大会は来年の8月に長野で初めて開催されるもので、そのリハーサルも兼ねていました。
家庭科を学ぶ高校生によるファッションショーやフードショーなどのステージパフォーマンス、そして屋代南高校(千曲市)・ライフデザイン科の生徒によるピンワークとカービングがそこで披露されました。
生徒はそれぞれ日々の授業や部活動などの合間を縫って準備を重ねてきており、プレ大会とはいえ、ステージでは高い技術を披露してくれました。
今回はそんな若い人たちによる芸術文化の魅力を発信したいと思い、本大会をめざして奮闘する生徒たちの姿をご紹介します。


第二部・フルーツカービング

根気よく練習を重ね、華やかなショーをめざす「フルーツカービング」。

専用のナイフを使い、野菜や果物に花などの繊細な彫刻を施す「フルーツカービング」は、タイの伝統文化です。
ライフデザイン科・フードコースの野田晴菜さんと田中実佑さんは、先輩の作品発表会でこれを初めて知りました。そしてその技術と華やかさに感動し、プレ大会で挑戦することを決めたのです。授業のほかに、東京研修にも積極的に参加し、タイ人の先生に指導をしてもらいました。そんな貴重な経験を通し、カービングに対する興味はますます深まりました。“上手になりたい”その一心で、夏休みも自分でスイカを購入し、自宅で練習を重ねました。

豪華で美しい出来栄えが魅力のカービングですが、それには地道で根気のいる作業が続きます。
繊維質のある野菜はナイフを思うように入れることができません。また小さく柔らかいものはボロボロにならないよう注意が必要で、素材によって彫り方も変わってきます。細かな作業には技術と、集中力も必要でした。

野田晴菜さん(右)と田中実佑さん(左)

生徒にインタビュー! 「野田晴菜さん(3年)」

初めは大根でバラの花を作りました。素材が柔らかいので花びらが取れそうになり、上手くいきませんでした。なかでもカーブを彫るのがとても難しいんです。先生によく指導をしてもらい、練習を重ねて少しずつ出来るようになると、達成感を味わえるようになります。形になるのがとても嬉しく、楽しかったです。
プレ大会ではスイカで花を表現したのですが、これは一番大変でした。スイカは皮が硬いので、彫りすぎないように力加減に注意が必要でした。それに大きいので、バランスも大事でした。スイカに設計図を書けるわけではないので、頭の中でイメージをして彫っていくのですが、完成までに3時間もかかりました。プレ大会は仕上げのみの披露なので、本番前はずっと裏で作業をしていました。
ただのスイカが、花に生まれ変わるんです。この感動やカービングの魅力をたくさんの人に知ってほしいと思います。

プレ大会の本番前。舞台裏で作業を続けました。
本番のステージは緊張して手が震えましたが、練習の成果を出すことができました。

心を込めて彫ることで食材の大切さも知った生徒は、高校生活でこんな貴重な経験をさせてもらえたことにとても感謝をしていました。
これからも自分の特技としてもっと追究し、大人になっても続けていきたいと、目を輝かせ話してくれた表情が印象的でした。

来年の本大会は後輩がこれを引き継いでステージに立ちます。
彼女が先輩の姿に感動しこれを始めたように、熱い情熱で溢れたこのステージも確実に後輩へ届いたことでしょう。

来年8月の全国高等学校総合文化祭は、2万人の高校生と10万人の観客が集まる一大イベントです。
これに向け、屋代南高校ライフデザイン科全員は一致団結し、更なる挑戦を続けていきます。

2017.9.10 信州総文祭プレ大会“カービング”の映像をご覧ください。